研究課題/領域番号 |
15K03061
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
原 知章 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (00287947)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 沖縄 / 読谷村 / 北谷町 / 米軍基地 / 跡地利用 / 開発 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、沖縄本島中部地域における米軍基地跡地開発のプロジェクトの歴史的経緯および現段階における成果と課題を、開発プロジェクトに関わってきた諸アクター間の関係を詳らかにしつつ、明らかにすることにある。当初は、沖縄本島中部に位置する読谷村における「読谷補助飛行場」の跡地開発プロジェクトに焦点を当てて調査を行なう予定であったが、今年度は、それと同時に、読谷村からほど近い距離にある北谷町の西海岸一帯の開発プロジェクトについても、あわせて調査を行なった。読谷村のプロジェクトは、農業を中心にすえたものであり、沖縄における「内発的発展」の可能性を有する取り組みとして注目を集めてきた。一方、北谷町のプロジェクトは、都市型海浜リゾートの建設を目指したものであり、基地跡地開発の成功事例として喧伝されてきた。この2つの事例の記述・比較・分析を通じて、各プロジェクトの特徴・成果・課題を浮彫りにすることができると考えられる。今年度は、特にこの2つの開発プロジェクトの歴史に関する調査を行なった。読谷村の事例に関していえば、農業を中心にすえた跡地開発の計画が策定されるまでに至る過程で、様々さまざまなが生じていたことが明らかになった。たとえば、この開発計画は、旧地主会と行政の間でもたれた幾度にもわたる話し合いを経て策定されたものであったものの、600名をこえる構成員からなる旧地主会において、農業中心の開発を進めることに対して十分な合意を築くのは容易ではなかった。一方、北谷町の事例では、当初は民間企業主導型の開発を予定していたものの、バブル経済の崩壊によって、当初の計画は見直しを迫られ、行政が開発のコンセプトを改めて構想しなければならなかったことが明らかになった。今年度の調査から、基地跡地開発のプロジェクトが、このような内外の様々な要因による困難に直面しうることが改めて浮き彫りになったといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究計画を変更して、基地跡地開発の成功事例として喧伝されてきた、北谷町の西海岸一帯の開発プロジェクトについても、あわせて調査を行なうことにした。また、当初は、平成27年8月~9月に現地調査を行なう予定であったが、諸般の事情で現地調査を実施することができなかった。以上の理由により、現在までの進捗状況はやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目にあたる平成28年度には、現地調査の実施期間を十分に確保することによって、進捗状況の遅れをとりもどしたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では、平成27年8月~9月に現地調査を行なう予定であったが、諸般の事情で現地調査を実施することができなかった。また、研究補助者として適当な人材を見つけることができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度には、現地調査の期間ならびに研究補助者を確保する予定である。また、関連書籍の購入やインタビューデータの文字起こし作業の業者への委託も予定している。
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