研究課題/領域番号 |
15K03067
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研究機関 | 阪南大学 |
研究代表者 |
塩路 有子 阪南大学, 国際観光学部, 教授 (70351674)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 英国 / フットパス / 地域振興 / Walkers are Welcome タウン / ウォーキング / 国立公園 / 観光 |
研究実績の概要 |
2016年8月に2週間、英国(10日間)とフィンランド(4日間)においてフットパスの現地調査を実施した。フィンランド・ヘルシンキでは、人々の森への自由なアクセスの現状を知るために、ヘルシンキ市内の森の公園、国立公園であり野外民俗博物館のあるセウラサーリ島、観光地としてのスオメンリンナ島の3ヶ所で、森林散策、ベリーやキノコ摘み、犬の散歩、ジョギングやサイクリングを自由に自律的に行っている様子を観察した。 英国では、コッツウォルズ地域チッピング・カムデンとウィンチコムにおいて旅行者用宿泊施設経営者や、旅行業者、観光案内所での聞き取り調査を実施した。また、WaW (Walkers are Welcome) タウンであるサマーセット州のウィヴァリースコムでの聞き取り調査から、WaW活動が多様な地域活性化やまちづくりの1つの方策として捉えられている状況が見られた。さらに、エクスモア国立公園内に位置するダンスターとその周辺のWaWの村々(ポーロック、リンマス、リントン)では、国立公園とフットパスに関する資料を収集し、関係者に聞き取り調査を実施した。WaWタウンの中でも、これらのように小さな村々では、ホテルやB&B経営者などの有志数名が中心となって、WaW活動を推進し、相互に連携している。とくに、国立公園内という立地から行政(村から地域レベル)や国立公園局とも密に連絡しながら情報を共有している。ダンスターでは、着地型のウォーキングホリディも実施している。 11月、はびきの市民大学講座において「英国におけるフットパスの再発見と地域活性化」という題目で講演した。同月末、「英国におけるフットパスとWalkers are Welcomeタウンの活動」という題目で、筑波大学において開催されたAnthropology of Japan in Japanの研究大会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、ウィンチコムを基軸としながら、規模の小さいWaWの村々も調査した。そこでは前年度調査したWaWタウンとは少し異なる形でWaW活動が推進されている。ウィンチコムでのWaW活動を相対化し、具体的な事例にもとづいて英国における「パブリック」概念について考える視座を得れたため、現在までの研究の進捗状況としては概ね順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
2017年5月27日、28日に神戸大学で開催される第51回日本文化人類学会において「英国におけるフットパスと地域活性化活動:文化遺産をめぐる文化・社会的環境の構築」というタイトルで、主にコッツウォルズ地域ウィンチコムの事例にもとづいて発表する予定である。 夏には、英国のスコットランドとイングランド北部でフットパスとWalkers are Welcome活動の現地調査を実施する予定である。とくに、スコットランドはイングランドと異なり、よりフィンランドなどの北欧諸国に近いアクセス権があるため、人々のフットパスを歩くことや関わりへの意識について、さらに、そこでのWaW活動について他地域と比較したい。北部イングランドでは、2015年度の調査で訪れたWaW活動発祥の地ヘブデン・ブリッジを含むエリアだが、同エリアの同町以外ではどのような展開がなされているかに着目する。
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次年度使用額が生じた理由 |
「人件費、謝金」が当初予定していたよりも少なくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度未使用額については、次年度「旅費」または「その他」において使用する予定である。
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