2019年5月末から6月にかけて英国のコッツウォルズ地域における祭りとフットパスの関係に関する調査を実施した。長年の調査地である町チッピング・カムデンにおいて、2つの祭りの開催に関わる人々に聞き取り調査、祭りの運営準備においては参与観察、2日間の祭り当日の観察調査を行った。その結果、1つの祭りについては、大きな変化があることがわかった。ナショナル・トラストの所有地ドーバーの丘で開催されるコッツウォルド・オリンピック競技会(ドーバース・ゲームス)は、ナショナル・トレイルであるコッツウォルド・ウェイの一部を通って会場に行くことができる。しかし、数年前から町の広場に数台のミニバスを配置し、観衆をピストン運行で会場であるドーバーの丘まで輸送するようになった。そのため、祭り当日にフットパスを歩いて向かう人々は少なく、この祭りと地域の自然環境を知るためのフットパスの関係は薄れてきている。 8月には、森へのオープン・アクセス権が万人にあるフィンランドでヌークシオ国立公園と公園の展示施設を視察した。ヨーロッパにおけるフットパスへのアクセス権と森や林などのオープンスペースを歩くことについて、現在の英国での調査研究を発展させるためである。人々が公園内を自由に歩き、ベリー類を採取したり、キャンプなどができる様子を確認した。 同月、引き続き、英国ピーク・ディストリクト国立公園を訪れた。英国の国立公園の中でも中核的な同公園とフットパスの維持、WaW(Walkers are Welcome)活動について調査を実施した。同公園内に位置するブラッドフィールドのWaWグループのメンバーに聞き取り調査、同国立公園庁のスタッフにインタビュー調査を行い、ピーク・ディストリクトの東側エリアを視察した。同調査結果は、論文として取りまとめ出版した(「英国におけるパブリック・フットパスと地域振興(part3)」)。
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