研究課題/領域番号 |
15K03068
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研究機関 | 桃山学院大学 |
研究代表者 |
金本 伊津子 桃山学院大学, 経営学部, 教授 (60280020)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 国際結婚 / 移住 / 移民 / 老い / 日本人高齢者 / タツラ収容所 / オーストラリア / 高齢化 |
研究実績の概要 |
2016年度においては、2017年2月~3月にオーストラリアでフィールドワーク調査を実施した。このフィールドワーク調査は、前年度に実施した調査の継続である。調査対象は、シドニー、タツラ、パースの3都市に居住する日本人である。 シドニーにおいては、「アングリケアデイサービス」の協力を得て、9名のインタビューを、パースにおいては、「虹の会」の協力を得て、5名のインタビューを実施した。一組の日本人夫婦および子供の国際結婚により呼び寄せられた日本人高齢者家族を除いて、すべて国際結婚をしてオーストラリアに移住した日本人女性である。インタビューは、1人2~3時間かけて、オーラル・ライフ・ヒストリーの収集を行った。 詳細な分析はまだであるが、オーラル・ライフ・ヒストリーを収集する過程で(1)国際結婚によりオーストラリアに移住した日本人は、圧倒的に女性が多い、(2)居住地は一つの地域に集中しておらず、地価の安い郊外に広範囲にわたっている、(3)可視的な日本人コミュニティがないため、高齢になるにつれて孤立化が進む傾向にある、(4)国際結婚は、文化の違いにより破たんしたケースが多い、(5)老後の生活をオーストラリアからの社会保障にたよらざる得ないケースもあったが、高齢化が進みつつあるオーストラリアの社会保障制度の改革が進む中、老後の不安が高まりつつある、(6)日本人妻がアブユーズされているケースもあった。 タツラにおいては、オーストラリアにおける日本人移民の歴史を明らかにするために、"Tatura Irrigation & Wartime Campus Museum"の協力を得て、タツラ収容所跡を訪問するとともに、タツラ収容所における日本人に関するアーカイブ資料を収集した。日本人に関する資料は非常に限られており、日本人が収容されていたNO4キャンプの看守の記録を精査する作業を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度および2017年度に実施したフィールドワーク調査によって、オーストラリアにおける日本人移民の歴史と現状、社会福祉制度の現状、国際結婚による移住者のインタビュー調査など、各調査とも概ね順調に進んだ。
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今後の研究の推進方策 |
(1)オーストラリアで入手したオーラル・ライフ・ヒストリーの分析を実施し、論文にまとめる。 (2)ヨーロッパ(イギリス、オランダ、ドイツ、スウェーデン)で実施した同様の調査結果との比較研究を行う。 (3)アメリカにおけるフィールドワーク調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2年間にわたるオーストラリアにおけるフィールドワーク調査が長期に渡り、また、都市部における滞在費の高騰により、今年度の予算をおおいに圧迫した。
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次年度使用額の使用計画 |
所属大学の個人研究費および特別個人研究費を活用して、研究計画を遂行する予定である。
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