全国各地には存在形態や規模が異なる多くの島々や多島海的海域が存在する。本研究では、本州とその周辺に存在する伊勢志摩地方、佐渡島、伊豆諸島、陸前中・北部地方、隠岐諸島等の島々と多島海海域の民俗芸能や祭について、現地調査、文献調査、情報収集を行い、実態の把握を試みた。その結果、島々や海域の民俗芸能や祭は、それぞれの時代の政治権力や宗教的権威と関係が深いこと、太平洋側よりも日本海側のほうが多く分布し、それらの伝播や定着には、江戸時代に多くの人や物資が運ばれた西回り航路の影響が強いこと、災害に見舞われた地域コミュニティの再建に、民俗芸能や祭が一定の役割を果たしたこと等の特徴を明らかにすることができた。
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