研究実績の概要 |
今期は、思うような研究活動ができなかった。それは、主として学内に生じた事情に基づく。その結果として、予算の消化にすら支障をきたしたのは不本意である。辛うじて行いえたのは以下の作業である。すなわち、G.Dilcher, Die Germanisten und die Historische Rechtsschule, 2017 の書評をサヴィニ雑誌のために執筆した(但し、公刊は2018年度)。また、『ドイツ法入門』の改訂作業の文脈で、本研究の成果を可能な限り投入した(が、改訂第9版の公刊は2018年度)。事典の項目のために『歴史法学』を構想執筆中である(がこれも公表は次年度以降)。研究実績として報告できるものは、Asiatischer Rechtskreis, in: Staatslexikon, 8. Aufl.(2017), Bd. 1, Spp. 402-411. だけであるが、これは、大部分、前年度の作業に基づく。 学部演習の枠組において、Pico della Mirandola の Oratio de hominis Dignitate(人間の尊厳について)を一年間かけて精読できたのは、消耗が大きかったが本研究にとっても、主観的には大きな意味を持った。 人文主義と19世紀ドイツ私法学との学問史的関連を訊ねることは、従来、技術的洗練にその特色があるとされてきた19世紀ドイツ私法学の《公法的》性質を分析するにあたって枢要な意味を持つ。しかし最近のドイツの研究においても、この観点は、おそらく行き過ぎた専門分化の副作用もあって、看過されていると思う。
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