本研究の目的は、中世の土地境界紛争における実検使(堺相論実検使)の実態及び機能の解明、ならびに実検使の視点を通じた土地境界紛争解決における紛争観念の考察であった。本研究では、単なる現地調査だけではなく紛争そのものの解決に繋がる調整機能を有していたと考えられている日本中世の実検使について、これまでなされていなかった実検使の観点からの史料検討や、個別事例の横断的な研究を行うことができたといえる。また、近接領域の研究者や現代の土地境界紛争に携わる実務家との交流,さらには現地調査を頻繁に行うことによって有益な示唆を得ることができた。
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