研究課題/領域番号 |
15K03091
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
井上 匡子 神奈川大学, 法学部, 教授 (10222291)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 公私協働 / ドメスティック・バイオレンス / 消費者支援団体 / 社会福祉協議会 |
研究実績の概要 |
現在我が国では、さまざまな分野で、様々な方法を用い、公私協働が実践、あるいは推進されている。現実には、単純な推進論に基づいてアウトソーシングの正当化が主張されたり、逆に財政難などを理由にした委託を縮小したりなど、混乱がみられる。また、国家や自治体などの公的機関の責任の不明確化、団体の下請け団体化などもみられる。これらの混乱の原因としては、公私協働に関する理論的研究の遅れを指摘することができる。 本研究においては、公私協働が実践されている三分野と、その重要な担い手である消費者団体・社会福祉協議会・ドメスティック・バイオレンス(以下、DVと略記する)被害者支援団体を具体的な素材として、その実践を理論化することより、日本社会の実勢に適合した公私協働のあり方を模索する。また併せて、理論化のために必要な枠組の構築を行う。 今年度は、昨年度のフランスでの在外研究の成果を活かし、以下の研究を進めた。1、理論・思想史研究 福祉部門における公私協働の理論的展開について、社会福祉協議会の位置づけを中心に検討 2、DV被害者団体・消費者団体への聞き取り 日本およびフランス消費者団体に団体訴権の実践を中心に聞き取りを実施 3、研究の統合と成果報告の準備 社会福祉協議会に関するシンポジウムを実施し、実務家との研究交流を通じて、理論枠組みの検証を実施。 具体的な成果としては、上記シンポジウムの他、DV支援団体に関して小論を公刊した。三分野の比較のための枠組みに関しては、理論的研究をもとに仮説を設定し、実務家や団体の現任者への聞き取りの中で検証している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理論研究に関しては、計画通りに進めている。各種団体への聞き取りに関しては、三種類の団体の中で、消費者支援団体に関しては、日仏比較も含め、若干の遅れが生じている。今年度は、集中的に実施することにより、当初の目的を果たすことができると思われる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、研究の統合・成果の発表を目指し、理論研究と実務家との聞き取り・交流を統合することを目指す。特に、昨年度までの理論研究で仮設的に設定した枠組みに基づき、DV被害者支援団体・消費者支援団体・社会福祉協議会のそれぞれの実践を比較検討する。また、やや遅れがちの消費者団体に関する聞き取りについて、日仏比較も含め、集中的に実施する。 成果については、論文ないしは、著書の形で発表の予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、予定していた消費者団体への聞き取りが、校務との関係で実施することができず、計画よりも執行額がすくなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
上記調査については、来年度実施するべく、準備をしており、研究の遅れは取り戻せる予定である。
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