公私協働は、これまでは、実践的な要請が先行し、理論的な検討がおくれていた。しかしながら、公私協働のありかたは、国家、市場、家族、市民社会、個人の関係にかかわる現代社会における重要な理論的課題である。本研究の成果は、この重要な課題に取り組むための足がかりとして、位置づけうるものである。また、国家や市民社会をめぐる思想史の観点からも、公私二元論をめぐるジェンダー論の観点からも、新しい視点を提示した。 また、新自由主義の嵐の中、否応なく公私協働とアウトソーシングに巻き込まれてきた私的団体にとり、国家や市場と対峙する際の自らの位置づけを可能にするための枠組みを提示している点で、社会的意義はおおきい。
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