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2016 年度 実施状況報告書

客観法としての表現の自由の理論的構築

研究課題

研究課題/領域番号 15K03102
研究機関東京大学

研究代表者

宍戸 常寿  東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (20292815)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード憲法 / 表現の自由 / 知る権利
研究実績の概要

本研究の2年次に当たる平成28年度も、引き続きドイツ・アメリカにおけるコミュニケーションの自由、とりわけ通信の自由について文献収集・研究を進めた。さにらに、ジャーナリズムのあり方や放送、インターネット上の表現、芸術の自由を中心として、日本における表現空間の現実的課題について研究を深めた。
具体的には、表現の自由を保障する憲法21条の解釈について、いわゆる三段階審査論の枠組みに依拠しつつ、既存の法理の位置づけを含めて、判例学説について体系的な整理を試みた。また、放送と通信の融合に関する制度的な課題の一例として、新しい基幹放送の類型である携帯端末向けマルチメディア放送に関する制度を検討し、視聴履歴の取扱いを含む今後の課題を明らかにした。また、放送の自由を確保するための自主規制のあり方として、放送倫理・番組向上機構(BPO)について、関係者へのヒアリング等も行いつつ、検討を深めた。さらに、表現の自由を司法過程で保護するための憲法訴訟上の手法として「憲法適合的解釈」に着目し、その意義を合憲限定解釈と比較したほか、公務員の表現の自由に関する判例に則してその意義と課題を検討した。
さらに、関連する学会、研究会において本研究に関する報告や質疑に参加したほか、各省庁の研究会、研究分担者として加わっている他の研究プロジェクトも含めて、様々な機会を捉えて情報法に関わる研究者・政府関係者・実務家との情報交換を通じて、有益な示唆を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ドイツ・アメリカにおけるコミュニケーションの自由について資料収集が進み、研究成果の公表に向けて準備が進んでいる。日本における表現空間の現実的課題については、発表文献一覧にあるとおり、表現の自由総論、報道の自由、放送の自由などについて、逐次論文等の形で公表されている。

今後の研究の推進方策

引き続きドイツ・アメリカにおけるコミュニケーションの自由について文献収集・研究を進めるとともに、日本における表現の自由・プライバシーのあり方について研究を深め、これまで得られた知見から、新しいICT環境におけるコミュニケーションの保護のための課題を明らかにする。情報法に関わる実務家等との情報交換を積極的に進めることも、引き続き行う。得られた研究成果は、個別の論文の形で逐次公表する。

次年度使用額が生じた理由

購入予定の図書の出版が遅れているため。

次年度使用額の使用計画

物品費として研究資料の購入に充てる。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] 携帯端末向けマルチメディア放送2017

    • 著者名/発表者名
      宍戸常寿
    • 雑誌名

      鈴木秀美・山田健太編『放送制度概論』

      巻: なし ページ: 223-235

  • [雑誌論文] 憲法適合的解釈についての比較法的検討 1.日本2017

    • 著者名/発表者名
      宍戸常寿
    • 雑誌名

      比較法研究

      巻: 78 ページ: 4-18

  • [雑誌論文] 表現の自由2016

    • 著者名/発表者名
      宍戸常寿
    • 雑誌名

      渡辺康行・宍戸常寿・松本和彦・工藤達朗『憲法Ⅰ 基本権』

      巻: なし ページ: 214-259

  • [雑誌論文] 抽象的なジャーナリズムの羅列ではなく 恐れずに課題を提示していく力が必要2016

    • 著者名/発表者名
      宍戸常寿
    • 雑誌名

      Journalism

      巻: 311 ページ: 105-112

  • [雑誌論文] BPOの意義と課題2016

    • 著者名/発表者名
      宍戸常寿
    • 雑誌名

      日本民間放送連盟・研究所編『ソーシャル化と放送メディア』

      巻: なし ページ: 98-129

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公開日: 2018-01-16  

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