研究実績の概要 |
本研究は、韓国の「共和国」概念の歴史的発展および今日の議論を基軸に、中国や日本の「共和国」についての理解がこれにどう関わっているか、また西洋の「共和国」概念が東アジアの国家思想のなかでどのように位置づけられるものであるのかを検討し、東アジアの「国民国家」の意味を再考しようとするものである。27年度はこの研究の初年度にあたるため、まず韓国におけるこの分野の研究状況を把握することを考え、主に韓国国会図書館において「共和国」概念や共和主義に関連する韓国の研究論文等を網羅的に収集するよう、努めた。これらについては次年度以降も読み進めつつ、今後の論文執筆の基礎とする予定である。 また1948年の韓国憲法制定当時の資料として、主に韓国の制憲国会議事録を読み、憲法第1条の「民主共和国」についての規定の制定背景を分析することに努めた。 以上を元に、27年度に発表した論文としては、Noriko Kokubun, The Rise of Korean Constitutional Thought(1875-1945): An East Asian Perspective, in: Marie Seong-Hak Kim (ed.), The Spirit of Korean Law: Korean Legal History in Contxet, Brill Hijhoff(Leiden/Boston)107-128 がある。 また、27年度の研究実施計画中のもう一つの課題であった現代の国民概念に関連しては、アジア法学会2015年11月15日の秋季研究総会において、「韓国の大統領制における国会の機能」と題して、韓国の国民主権が現代の統治体制の中で有する意味を国会の機能を通して分析した。
|