本研究は、国家による環境リスクの低減・排除が、グローバル化等の現代の文脈において、実効性確保の点で困難を抱えていることに鑑み、それを今後も国家が引き受けるべき責任があるのなら、国家の法創出過程がいかなるものでなければならないのかについて、現行憲法の構造に照らし再検討した。そのため、原子力リスクと化学物質リスクを具体的な素材に、不確実性や非知の環境リスクマネジメントの諸問題を考察した。その結果、これらの問題に対しては予防的で順応的な法的アプローチが有益で、かつ、実体法的統制とともに、組織法的・手続法的統制が必要であるとの結論を得た。
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