世界において「重国籍」を容認する国は、現在、約120カ国となっている。そうした中で、国籍観念は「忠誠パラダイム」から「居住パラダイム」へと変容していると解される。重国籍者の政治的権利については、重国籍容認国の多くでは、重国籍であることが居住する国籍国における政治的権利の喪失理由にはなっていない。しかし多くの国において、実際には、重国籍者はどちらか一つの国でしかその政治的権利を行使できない。その理由は、二重国籍という地位から招来するのではなく、「居住」要件に基づく制限的ケースが多いことが理解される。
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