本研究は地方分権改革を経て総合行政主体とされる地方自治体の総合行政の実態について法執行の観点から、主要な政策分野における条例の執行過程に係るヒアリング調査、文献調査を中心として行うものである。これまで学術的に必ずしも明確にはされていなかった地方自治体の総合行政の理論的背景と自治体行政実務の実態を考察することにより総合行政の可視化を試みることを目的とするものである。初年度(平成27年度)は地方分権改革、地方自治法、地方自治体の行政実務を中心とした論稿に関する文献調査、関連する国法の規定にかかる自治体実務における総合的な対応を検討した。文献調査においては歴史的な視点も加味して概念上の変遷についても考察を行ったところである。これらを踏まえて第2年度(平成28年度)は、当初の計画のとおり土地利用、環境・再生可能エネルギー分野における条例を対象としてその執行状況を中心としたヒアリング調査を一部の自治体で行った。さらにこれらを踏まえて平成27年度及び28年度までの調査結果の一部については地方自治に関連する学会報告を実施した。現時点では調査予定自治体への訪問、調査については中途であるので第3年度(平成29年度)においても継続し、また関連する法令等の改正等も踏まえた調査も実施予定である。また対象とする条例についてはヒアリングの結果、自治体ごとに関連法規の範囲の相違も確認され最終年度においてはこれらの整理等を踏まえた補足調査も継続する予定である。
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