本(2018)年度が,本研究の最終年度であった。本年度においては,前(2017)年度に行ったワークショップの成果を生かしつつ,前年度において「今後の研究の推進方策」において挙げていた論文執筆ならびに外国(語)での研究発表を実践した。 すなわち,第1に,論文執筆に関して言えば,前年度における研究報告を基にした「納税者を守るための様々な方策とその限界―英国ヴィクトリア朝における納税者の権利保護に関する研究の紹介」(ただし,これはイギリスの研究書の紹介に過ぎない)を公表したほか,「コンフィデンシャリティは自由か特権か」と題して,租税情報の報道機関への開示をめぐるR (Ingenious Media plc) v Revenue and Customs Commissioners [2016] UKSC 54 を紹介し,また,「課税処分に対する理由附記・理由の提示をめぐるアメリカの議論状況 」という論文を公表した。 前年度に手をつけた国際課税関係については,共著の教科書の国際課税の部分を改訂した他,「移転価格税制の法理上の基礎について」という論文を公表した。 この他,「租税関係情報と文書提出命令」及び「所得税法33条にいう「譲渡」の意義」という論文を公表している。 第2に,外国(語)での研究報告としては,ICON-Sでの地方税についての報告,ハーバード・ロー・スクール東アジア法研究所での理由附記に関する報告,東京大学公法研究会での租税と憲法の財産権保障の関係に関する報告,をいずれも英語で行なった。この他に,アメリカのロースクールの紀要(ウェブ出版)に英語での論文1本の公表を予定している(2019年4月末に刊行済み)。
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