研究課題/領域番号 |
15K03120
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
楠 茂樹 上智大学, 法学研究科, 教授 (70324598)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 会計法 / 地方自治法 / 公共工事品質確保法 / 担い手育成・確保 / 談合 / 一者応札 / 最低制限価格 / JV |
研究実績の概要 |
平成28年度における研究: (1)前期においては昨年度に引き続き、担い手育成・確保に向けた各発注機関の取り組みについてサーベイを行うと同時に、後期における海外調査(日本の制度・運用と諸外国のそれとの比較)に向けた準備を進めた、(2)後期においては自身が入札監視委員会の委員を務めている東京都において、新しく誕生した小池知事が取り組み始めた入札契約制度改革に注目し、東京都の取り組みを本研究の主要な柱として追加することを決め、一連の改革論議についてのサーベイを開始した、(3)後期の途中においては、パリにあるOECD(競争政策部門)を訪問し、担当者と「公共調達と競争政策」に関連するテーマで情報交換、意見交換を行った、(4)後期を通じて『公共調達と競争政策』の改訂作業を進め、平成29年1月に出版社(上智大学出版、ぎょうせい)に原稿を提出した。このうち、(2)の東京都の改革は大いに注目されるものであり、例えば、赤字防止を目的とした最低制限価格を原則廃止すること、中小企業への技術移転を目指した応札に当たってのJV義務付けの廃止、といったあたりは公共工事品質確保法が目指す「担い手育成・確保」と抵触するのではないかとの批判が強く、しかしながら落札率低下を目指したこの種の改革の強行は今後最も注目される入札契約制度改革の論点となるだろう。また一者応札の無効化を東京都が決定したことは、そもそもの公共工事自体の否定ともいえる工事自体の放棄にもなりかねず、担い手育成・確保の問題よりも深刻な問題へと発展する恐れがある。こうした都における一連の議論の整理や他の発注機関との比較の材料の収集に平成28年度後期においては主たる作業として研究を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた海外ヒアリングや『公共調達と競争政策の法的構造』の改訂作業が終わり、28年度末には校正段階に至っている。東京都の問題が新たな課題として登場したが、これも相応のサーベイが進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
「担い手育成・確保」の争点を盛り込んだ『公共調達と競争政策の法的構造』の第二版の出版を夏までに実現し、出版と同時に関係各者に送付しコメントをもらい、新たな課題、詰めるべき論点等について認識、整理する。東京都の改革については平成29年度を通じて行い、検証するとのことなので、これについてのサーベイを徹底的に行い、その問題点、効果、新しい課題等について整理する。邦語、英語によるこれらに関連した論文を作成し、投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学内行政の多忙化(法科大学院業務が主たる内容)。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度において未実施分の研究作業を遂行する。
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