研究課題/領域番号 |
15K03122
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
中島 徹 早稲田大学, 法学学術院(法務研究科・法務教育研究センター), 教授 (60366979)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 持続可能性 / 選挙制度 / 人格 / ナチス独裁体制 |
研究実績の概要 |
明治維新以降の土地制度を形成した地租改正とそれに連動した選挙制度の設計、さらには選挙権の拡大へとつながる財産要件に関し、なぜ様々な選挙権制限を当時の立法者が構想したのか、その陰にいたいわゆるお雇い外国人が制度設計に果たした役割については、日本では解明されておらず、また本国においてはテーマについての関心がないために、いずれにおいても可視化された研究は存在しない。 そこで、制度設計にかかわったドイツ系法学者の思考を探るべく現地図書館において、関係書物を読みつつ、間接的ではあれ、なぜ現在まで続くような世界でもまれな戸別訪問禁止に代表される選挙権制限制度を設けたのかに関する思想的背景を探る作業の従事してきた.これはしかし、歴史研究においては大海の中から一本の針を探し出すような作業であることを意味する。資料の存否自体が不明であるからである。現時点では、決め手となる資料を発見するに至っておらず、引き続き資料の探索を続け、研究を継続することとしたい。 また、本研究におけるキーワードの一つである持続可能性に関連して、ドイツにおけるナチス体制のような独裁体制がなぜ千年王国を展望できたのかについて、世界史的には連合国の介入ゆえに持続できなかったとしても、国内でなぜあの体制が存続できると信じられたのか、そうしたし考え方が法制度にどのような影響を与えたかについても、同時並行的に研究を続けている。これは、現在の日本社会における思想状況とも一定の関連がある点で、本研究と密接な関連があるが、こちらの方はしかるべき研究の進展をみている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
歴史研究の常として、研究課題に直結する想定された資料が現に存在するかどうかは明らかではなく、膨大な資料を読みながら関連資料を探す作業を地道に続ける以外に方策はないことから、そのための作業に膨大な時間をとられ、研究の進捗が遅れ気味である。もっとも同時並行的に進めている戦前ドイツの政治体制研究はそれなりに進展しているため、総合的には予定の進行状況であるとはいえる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、資料の存否をめぐる作業を地道に続けることにしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外出張費を節約した結果、残額が生じた。
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