研究課題/領域番号 |
15K03124
|
研究機関 | 常葉大学 |
研究代表者 |
柴 由花 常葉大学, 法学部, 教授 (20383193)
|
研究分担者 |
大杉 麻美 日本大学, 法学部, 教授 (00347733)
西山 由美 明治学院大学, 経済学部, 教授 (20296221)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | ワーク・ライフ・バランス / 租税政策 / SDGs / QOL / ジェンダー / 都市計画 / 環境 / 情報 |
研究実績の概要 |
本研究は、ワーク・ライフ・バランスの関連してクオリティ・オブ・ライフの観点から、租税法や家族法だけでなく、文化政策、都市計画、住宅政策、環境等に関する日蘭の比較研究を行った。今年度は、これまでの研究成果を2015年に国連にて採択されたSustainable Development Goals(SDGs)の文脈から再構築し、SDGsの17の目標のうち、都市計画、環境、ジェンダー、パートナーシップに関連する法政策・租税政策に関する事項を取り上げ、書籍にまとめた。 ジェンダー平等は持続可能な開発目標5(ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化を行う)だけではなく、特にワーク・ライフ・バランスの観点から、持続可能な開発目標8(包摂的かつ持続可能な経済成長及びすべての人々の完全かつ生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用(ディーセント・ワーク)を促進する)と統合して考慮されるべきである。ジェンダー平等は基本的人権であり、労働市場にアクセスする際に女性が直面する構造的障壁を取り除くことが重要である。他方、働き方に中立的な所得課税の構築が必要である。オランダでは、既婚女性は法律上、行為無能力者として扱われてきた沿革から、経済的にも無能力者として扱われ、自らの所得があっても、課税上、納税義務者とされてこなかった。所得税の課税単位については、現在でも、依然として部分的に家族課税と個人課税の混合システムが適用されている。また、片稼ぎ夫婦に対しては所得税額控除の夫婦間の移転を通じて所得税が軽減されており、課税上のパートナー(同性婚等のパートナー)にも認められている。これは働く女性の税負担に悪影響を及ぼすと考えられる。片稼ぎ夫婦と共稼ぎ夫婦の税負担の問題は2分2乗方式によって解決されるが、オランダでも政治的な合意は難しいとされている。
|