3年目となる本年度は、前年度のまでの研究をもとに、各機関における法律顧問の諸任務のうち、かの国において最も重要なものと認識されることの多い、当該機関の策定する規則・プログラムの制定法上の許容性に関する審査の局面に焦点を当てて、検討を加えた。 ここでは、素案策定の段階から法律顧問室が関与をすることが多いこと、策定の2つのタイプ(かの国でいう「ワークグループモデル」と「ラインモデル」)のうち特に「ワークグループモデル」においては中心的な位置付けに置かれていること、その際の法律顧問室の観点は司法審査の可能性がある論点の提示を示すことにあることが明らかになった。こうした法律顧問室の機関内における機能は、わが国の自治体内弁護士の活動(特に政策法務として位置づけられるもの)のうち、少なくともいくつかの例と重なりあうという評価に至った。 機関間の関係における法律顧問室の機能としては、前年度に検討した事件例の後に、そこでの諸作用を一般制度化したともいいうる大統領命令12146による制度を通じたコーディネーションは、必ずしも十全に作用しているわけではないことも明らかになった。なお、副次的には、州レベルの各期間の法律顧問室に関する議論の参照を通じて、連邦レベルでの1920年代の制度図式がとられている州も存在しており、ここに現下の連邦レベルとは異なるもう一つの法務組織像が存在するのではないかという問題も発見することができた。他方、大統領府との関係の分析については、従前の評価枠に沿わない事象も少なくなく、またそうした事象がなお継続していることから、踏み込んだ評価は差し控えざるを得ず、本研究で得られる視覚に基づく分析を加えるべき次の課題とした上での、予備的作業を固めることに注力することとなった。
|