研究課題/領域番号 |
15K03135
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
中川 淳司 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (20183080)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 地域貿易協定 / 規制協力 / 環太平洋連携協定(TPP) / 自由貿易協定(FTA) / 世界貿易機関(WTO) |
研究実績の概要 |
本年度は地域貿易協定を通じた規制協力の事例研究として、平成27年10月に交渉が大筋合意した環太平洋連携協定(Trans-Pacific Partnership, TPP)の公表された条文テキスト中の規制協力に関わる条文の分析を行った。具体的にはTPPの第5章(税関手続と貿易円滑化)、第7章(衛生植物検疫措置)、第8章(貿易の技術的障害)、第9章(投資)、第14章(電子商取引)、第16章(競争政策)、第17章(国有企業及び指定独占)の各章を取り上げて、これらの章が規定する規制協力の内容を、既存の自由貿易協定(FTA)やWTO(世界貿易機関)協定の規制協力と比較した。 分析の結果を研究論文として公表した他、日本経済新聞(経済教室平成27年10月23日)など、マスメディアに論説やコメントとして公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域貿易協定を通じた規制協力の分析対象として、多数の国が参加し、広範囲で高水準の貿易・投資の自由化と高水準の貿易・投資ルールの形成を目指す、いわゆる広域FTAを通じた規制協力が重要である。最初に交渉が妥結した広域FTAである環太平洋連携協定(TPP)の条文が平成27年11月に公表されたため、TPPを通じた規制協力の内容を分析することが可能となった。本年度はTPPを通じた規制協力の内容分析に注力し、研究成果を研究論文及び新聞の論説にまとめることができた。
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今後の研究の推進方策 |
①引き続いてTPPを通じた規制協力の分析を進めるとともに、②他の地域貿易協定を通じた規制協力の事例研究を行い(例えばカナダとEUの包括的経済貿易協定CETA)、研究成果を研究論文として公表する。③交渉中の広域FTAである東アジア地域包括的経済連携協定(RCEP)、米欧の環大西洋貿易投資連携協定(TTIP)、日欧経済連携協定(EPA)を通じた規制協力について、交渉文書の収集・分析を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度直接経費の総額の範囲内での執行に努めたが、ごく小額の執行残が発生したため、次年度使用に回すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究経費として適切に使用する。
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