国家元首や公務員には外国の裁判権に服することを強制されない、いわゆる管轄権からの免除(immunity)があることが伝統的国際法の時代から認められてきたが、その条件や内容等の詳細については争いがある。本研究では免除に関する理論的問題を国連国際法委員会における法典化作業の検討を通じて明らかにした。また免除に関する慣習法についての見解の対立が国際的紛争を生じさせている状況を分析した。特にアフリカ諸国は外国刑事管轄権であろうが国際刑事裁判所の管轄権であろうが人的免除と事項的免除の絶対性は慣習法で確立しているとの主張を強め国際社会との対立を深めている。
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