ルクセンブルクおよびベルギーは、それぞれの憲法に、国際法規範が国内法秩序においてどのような階層的位置付けにあるかが明記されておらず、かつ、にもかかわらず(一部の)裁判所が国内法秩序において国際法が憲法に優越するとの判断を示している。 ルクセンブルクの裁判所は、端的に憲法に対する国際法の優位を述べ、特段の理由付けをしない。これは、国の設立根拠がそもそも条約(19世紀のウィーン会議最終議定書・ロンドン条約)にあるという背景を有する。ベルギーは、憲法裁判所は憲法優位、破毀院等は国際法優位、というずれが見られ、ルクセンブルクに共通する背景もあるものの、裁判所間の権限争いも無視できないと思われる。
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