本研究においては、インフラ輸出をめぐる実際の及び潜在的な国際経済紛争を分析した。近年、インフラ需要が世界的に高まっていることを受けて、日本を含む先進国の企業が新興国などに対してインフラ輸出を行う例が増加している。こうした状況を背景に、インフラ輸出をめぐる国際経済紛争も多数発生している。本研究は、インフラ輸出をめぐる国際経済紛争に係る国際裁判例(具体的には、世界貿易機関(WTO)紛争処理と投資仲裁)を分析することで、インフラ輸出をめぐる国際経済協定及び国際経済紛争処理制度の問題を明らかにした。同時に、国際経済紛争処理制度が国内法政策の自律性に及ぼす影響についての理論的考察も行った。
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