研究課題/領域番号 |
15K03147
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
新井 京 同志社大学, 法学部, 教授 (10319436)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 占領 / 武力紛争法 / 国際人道法 / ハーグ陸戦規則 / 国際的武力紛争 / 非国際的武力紛争 / 文民 / 対テロ戦争 |
研究実績の概要 |
今年度は、そもそも軍事占領がどのように定義され、また昨今の事例においてどのように解釈されてきたかについて、諸判例、事例、学説などを整理し、分析することを試みた。著名なイラクやパレスチナ占領のみならず、より「典型的」なコンゴ民主共和国、ジョージア、エチオピア・エリトリアなどの事例を研究することで、占領が現代国際人道法上どのように定義されうるかを考察した。 そこで第1に明らかになったのは、占領概念が国際人道法以外の国際法体系の中に位置づけられなければ把握できないという点であった。領域国による駐留受け入れ同意の有無や、領域国(占領国)による当該地域支配の法的根拠などは、ユスアドベルムや領域法などの一般国際法上の問題が、占領の法的定義に大きな影響を与えており、その関連性の中で捉えられなければならないのである。 次に、占領が戦時と平時、安定と混乱、暫定性と恒久性の狭間において生じる法現象であるところから、占領法規、特に占領の定義が国際人道法の適用条件、ひいては国際人道法の存在意義そのものの再検討を迫る点に注目せざるを得なかった。その結果、占領法規の観点から国際人道法の現代国際法秩序における意義を問い直し、占領法規を含む国際人道法が一定の暴力や特別な権限の発動を「許容する」規範から、そうした暴力や権限行使を「規制する」規範へと、存在意義を変化させつつあることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
占領の定義に関して、遠回りながらも一定の知見を得つつあるから。
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今後の研究の推進方策 |
占領の定義に関する27年度の研究のまとめを行いつつ、さらに27年度に少しずつ考え始めた「一般国際法上の定位」に関する研究を推進する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヨーロッパ中東方面の国際情勢悪化により情報収集のための旅費執行ができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度に計画しつつ実現できなかった情報収集のための渡航を28年度に行う計画である。
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