1949年のジュネーヴ第4条約以降の発展が不明確な「占領」を規律する国際法の内実は、イラク戦争以降さまざまな局面で問題となった。特に軍事的技術の発展や非正規戦闘員や文民の戦闘参加といった戦争の現実の変化は、第二次世界大戦当時の現実を反映したジュネーヴ第4条約の妥当性に疑問を抱かせてもいる。さらに近年の国際法の著しい発展を経て、占領に関する国際法が国際法全体の中でどのように位置づけられるべきかについても不明な点が多かった。本研究は、事例研究や学説の渉猟を通じて、占領法規の現代的内実と現代的意義を明らかにしつつ、占領法規を一般国際法体系の中に定位にすることを試みた。
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