研究課題/領域番号 |
15K03149
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
片桐 由喜 小樽商科大学, 商学部, 教授 (80271732)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 韓国医療保障制度 / 国家統制 / イギリス医療保障制度 / 医療機関当然指定制 / 混合診療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は医療保障制度に対する国家統制のあり方をイギリス、韓国の各制度を比較対象として検討するものである。そのため、平成28年度の実施計画として、①先行研究のレビュー、②イギリス、韓国での調査研究、③海外・国内調査に基づく分析を掲げた。 ①はおおむね必要な文献を入手し、常に参照できる状態にある。また、インターネットを通してイギリスにおける研究業績を検索、入手し、現地調査の不足を補っている。②のため、平成28年5月にイギリス(ロンドン)へ赴き、研究機関を訪問したり、資料を収集するなどして、直近の研究成果を得ることができた。韓国での調査では医療保険の保険者である健康保険公団、診療報酬の審査機関である韓国審査評価院など、行政機関を訪問し、制度の現状、改革概要、および、課題などについて情報を得た。 また、本研究を契機として、我が国の健康保険組合連合会から韓国の医療保障制度に関する委託研究を受け、イギリス関連の調査、研究に加えて、前年と同様に韓国の医療保障制度の研究にも多くの時間を割くこととなった。この研究では保険者統合の経緯とその効果、医療の質の評価制度、および、日韓の混合診療の現状と課題の分析が中心である。この委託研究の成果をまとめた論文は、上記連合会から報告書の形で発刊される予定である。 韓国の研究者との交流をとおして、韓国で日本の社会保障制度について発表する機会を得た。インド、インドネシア、ベトナム、ロシア、韓国から研究者が参加する国際シンポジウムであり、いずれも国家統制が比較的、厳格であることから、本研究に貴重な示唆を得た。 上記実績は、いずれも本年度の研究の基盤となるものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記「研究業績の概要」で述べたとおり、必要な資料をほぼ入手できたこと、イギリス、韓国内での調査委研究が当初の予定通り実施できたことが、おおむね順調に進展していることの理由である。 イギリス、韓国のいずれについても社会指標統計、社会保障全般と医療保障に関する統計や研究業績など、本研究の主題である国家統制に関する論文以外の資料なども入手できた。テーマ本体のみならず、周辺的な情報も本研究をまとめるに際し、不可欠である。そのような資料が手元にあることも順調に進展していると評価する理由である。 さらに、既に述べたとおり、健康保険組合連合会からの受託研究を受け、その成果物として報告書を提出しており、これが、次年度、本研究の成果をまとめる際の一部を構成することになることも、おおむね順調であると評価する理由である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、引き続き、先行研究のレビューを行う。また、現地調査は韓国のみとする。そして、韓国人研究者、実務家との研究会や意見交換など研究交流を積極的に行い、同じ論点について彼らの見解、評価を得て、自分の研究を複眼的に検証する予定である。 そして、日本との比較に正確を期すため、日本法の再確認、および、専門家、実務家から情報収集する。 平成29年度は最終年度であることから、調査、検討結果を分析、整理し、まとめる。報告書、論文公表等、加えて、国内外の研究会やシンポジウムなどで積極的に発信する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、1つは既に述べたように健康保険組合連合会から受託研究費を受けたことと、もう1つは、他大学教員が研究代表者となっている別の科研費助成事業の研究分担者となっているからである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額として追加される研究費は、文献購入、国内および、韓国出張等に充当する計画である。
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