Google、Amazon、Apple、Facebookといったオンラインの巨人は、多種多様そして常に拡大するサービス、アプリケーション、コンテンツを束ねるプラットフォームを創出して、現在および将来の幅広い市場にその力を及ぼすようである。しかし同時に、それらプラットフォームは、それに依拠するサービス、アプリケーションなどについてイノベーションの揺籃として機能し 、また自らもイノベーションをもって競争する。そして、これらイノベーションはユーザーに多大な便益を与えている。しかもそれらプラットフォームがユーザーに提供するサービスは、無料であることが多い。そうすると、これらプラットフォームに対する競争法の適用は、過剰規制となりそうである。以上の問題関心から、研究を遂行してきた。これまでの業績として、「デジタルプラットフォームの市場支配力分析」、「プラットフォーム産業における市場画定」がある(共著)。無料市場、プライバシー、イノベーションといった課題について、分析の大枠を示し得たと考えている。これに加え、最終年度は、ビッグデータの問題に取り組んだ。その成果の一つとして、一橋大学政策フォーラムにて「デジタルエコノミーと競争政策(法的論点からのコメント)」(2017年12月)、総務省情報通信政策研究所にて「デジタルプラットフォームの競争政策上の課題」を、それぞれ担当した。データの大きさそのものに注目するのではなく、データのバリューチェーンに注目すべき点について、考えを示し得たと考える。
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