研究実績の概要 |
ドイツ法・EU諸国の法制(一部)及びアメリカ法の調査を実施し、日本法についても私的領域への介入及び不利益取扱い(差別)という点で注目されるハラスメント関係の法理を中心に補足的に文献収集と判例調査を行った。外国法については、差別禁止法制(ハラスメント関係を含む)・プライバシー関係に関する情報を収集したが、特に差別禁止事由(情報収集の対象となる事由)としては障害差別や性差別関係を中心とした。 また本研究の差別禁止・情報収集規制に関連した研究成果発表として、日本法での雇用形態差別に関して2018年6月に出された(初の)最高裁判決の解説を雑誌に論文として投稿した(「有期契約労働者・無期契約労働者間の労働条件の不合理な格差禁止を定める労働契約法20条の趣旨と要件・効果[最高裁平成30.6.1判決,最高裁平成30年6.1判決]論究ジュリスト26号140-151頁(2018)。判例の判断枠組みとその評価について述べ、その中で一般の人権的な趣旨での差別禁止事由に関する法理と、職種差別のように人的属性とはいえない事由に関する法理とで異別取扱いに対する禁止規定の射程・審査の緩やかさが異なりうる点を指摘した)。なおその他、日本法についてセクシュアル・ハラスメント、パワーハラスメント関係についての法制・判例法理等の概観を試みる原稿を執筆したが、出版計画の遅延があり、未公表となっているため、成果には挙げていない。これらの進行状況は、おおむね研究計画どおりであると考える。
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