本研究の目的は、使用者による労働者の情報取得の必要性と、労働者のプライバシーの保護及び差別からの保護の必要性の間の調整の在り方について調査・検討することである。 労働者の差別からの保護やプライバシーの保護等の規制について文献・判例等の収集を行い、労働者情報の取得への規制の在り方を検討した。差別禁止とプライバシー保護とでは根拠・射程が異なり、判断枠組み・規制の厳格さも異なる。日本法では、特に採用段階での差別禁止が限定的であり、近時のプライバシー保護の観点での規制がその代わりに及んでいるが、差別禁止とプライバシー保護との相違を考慮すると、採用時の労働者の情報取得の規制等については見直しの余地がある。
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