研究課題/領域番号 |
15K03160
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研究機関 | 高千穂大学 |
研究代表者 |
森平 明彦 高千穂大学, 経営学部, 教授 (90200435)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 欧州連合 / 独占禁止法 / 優越的地位の濫用 |
研究実績の概要 |
本年の研究として、「相対的市場力の濫用と公正な競争秩序―英国とドイツの規制から学ぶ事」のテーマによって、近時行動綱領とそのエンフォースメントの制度を整備した英国と、不正競争防止法により「利益強要(Anzapfen)」に係わる先例を有し、競争制限禁止法において需要力濫用規制を規定するドイツの取りまとめをした。両国とも濫用の行為者について従属的事業者とされた市場の相手方に行使される力を相対的市場力と捉えて、競争法との関連で需要者段階と供給者段階の市場の競争に需要力がいかなる影響を及ぼすかの理論的検討がされている。本研究では、需要力、需要競争及び供給競争のモデルと相関関係を論じたドイツの競争法理論を分析し、相対的市場力の濫用が競争法秩序へ及ぼす影響について英国とドイツの規制のあり方を検討した。結論として需要力の濫用規制は、市場力の規制を担う(EU)反トラスト法制において相対的市場力の規制が公正な競争秩序を確保する要請と結びついて行われる必要があることを明らかにした。 さらに、「需要力濫用規制の法理論的枠組み―競争とコンフリクトの融合的把握」のテーマのもとに、経済学的分析の成果を法規制に取り入れるアプローチについて、対照的な研究を研究した。すなわち、双方とも取引費用の経済学に属するが、不公正取引慣行の経済学として拡張的一般均衡のアプローチと抗争交換によるアプローチの対照的な理論動向が、EUの需要力濫用規制に背景的な影響を及ぼしている事を明らかにした。本研究では、2014年2月に欧州委員会及び域内市場総局 に提出された、「小売サプライチェーンの事業者間不公正取引慣行をカバーする法的枠組みの研究;最終報告書」の紹介と検討も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014から2015年にドイツの連邦カルテル庁による大規模スーパーのおこなう不公正な取引慣行の訴追について、高等裁判所の判決が下されたほか、同カルテル庁の流通業における需要力濫用問題についての大規模な実態調査の公表があった。また研究者の新たな規制提案の発表や論文の公表がなされた。そのため、現在これらドイツにおける最新の動向のフォローに努めている。
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今後の研究の推進方策 |
欧州連合の欧州委員会の新しい動向やイギリスの行動綱領と審判官制度制度による最近の取り締まりの状況を検討する。さらに日本の独禁法独禁法について、不公正な取引方法方法における優越的地位の濫用濫用の検討検討との比較法的な考察を行う。
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