本研究は、若者の貧困に対する、生活保障と雇用政策の重層的な保障の視角から、若者雇用促進や職業訓練の「労働」の視点だけでは生活保障が抜け落ちることを認識する一方、家族・世帯から捉えるだけでは良質の雇用機会の不平等な条件が不鮮明になるのを回避するものであった。 また、若者への援助は、国家の福祉の限界は明確であるが、より小さな集団を優先する考え方に基づき「個人」の責任がクローズアップされている転換期にこそ、「個人を援助する国家」の考え方が、社会の不利な対象には重要である。つまり、個人を支える「公助」を縮小する「公助機能縮小論」ではなく、国家、そして企業又は家族による重層的な役割論に注目できた。
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