研究課題/領域番号 |
15K03165
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
小名木 明宏 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60274685)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 保安処分 / 刑事政策 / 刑罰論 |
研究実績の概要 |
①ドイツの刑務所での訪問調査 7月にバーデン・ヴュルテンベルク州のシュヴェービッシュ・グミュント女子刑務所を訪問し、ドイツで唯一の保安監置収容者の収容状況を見聞した。また、12月にニーダーザクセン州のフェヒタ女子刑務所も訪問し、収容状況を見聞した ②国内・国外研究者へのインタビュー調査と意見交換 刑事政策研究者に聞き取り調査および意見を求めた。調査項目は、現在ある保安処分的な法制度の現実、刑罰論との関係、社会復帰促進の理念と自由の拘束の在り方である。とくに海外の研究者との交流では、主に学術的にはテュービンゲン大学大学ハーヴァーカンプ教授、刑事実務については連邦刑事研究所デセカー教授と意見交換を行った。 ③海外での保安処分に関する実態調査 ドイツでは、電子監視が2000年よりヘッセン州で試験的に導入され、また、2010年9月よりバーデン・ヴュルテンベルク州でも正式運用が開始された。しかし、現在では、電子監視はヘッセン州で継続されているにとどまる。また、2009年12月の欧州人権裁判所の判決を受け、2011年に保安監置に関する規定も改正された。そこでは国民を犯罪から守る基本法上の国家の責務と、欧州人権条約で要請される犯罪者の人権の均衡をどのようにとるかが焦点となっている。 ④国際研究会の主催 2月に研究会を実施し、テュービンゲン大学大学ハーヴァーカンプ教授が講演「ドイツ連邦共和国における保安処分の現状」を実施し、参加者らと議論と意見交換を行った。なお、当日の講演は、現在、公表に向けて準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内での刑務所の視察が十分実施できなかったが、代わりに多くのドイツの刑務所を視察することができた。 海外ではドイツの状況を中心に研究対象とし、その他の国々について十分検討が行われたわけではなかった。しかし、ドイツを中心に据えていれば、全体像が概観できるため、長いスパンで見れば、効率的に研究が進められている。
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今後の研究の推進方策 |
①国内の刑事施設の調査 受刑者の持つ危険性の除去のための教育についての経験を教育担当者にインタビュー調査し、行為者の持つ危険性の克服という課題をどのように解決すべきかを検討する。 ②国内・国外研究者へのインタビュー調査と意見交換 刑事政策研究者に聞き取り調査および意見を求める。調査項目は、現在ある保安処分的な法制度の現実、刑罰論との関係、社会復帰促進の理念と自由の拘束の在り方である。 ③海外での保安処分に関する実態調査(フィンランド、トルコ) フィンランド、トルコにおいても保安処分制度は実施されているが、不明な点が多く、両国とも交流のある研究者がおり、彼らを通じて情報の収集をする。 ④研究会等での報告 9月にトルコ人研究者を招いて研究会を実施し、意見交換を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツ出張に関しては、旅費を安く抑えたため、効率よく実施することができた。 また、トルコにも出張する予定であったが、治安状況悪化のため、出張予定を取りやめた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度、トルコ人研究者を日本に招聘し、研究会を実施する。
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