1974年の改正刑法草案において提案された保安処分制度は、激しい批判にさらされたが、時代を経て、被害者保護と安心安全社会が唱えられ、事後的な処罰よりも犯罪の事前予防に重点が置かれるようになってきた現在では、保安処分制度を再検討し、現代社会に適合した形でこれをブラッシュアップすることで持続可能な刑事政策を実現できるものと思われる。このような考え方は、わが国の刑事法に大きな影響を与えているドイツをはじめ、多くの国々で受け入れられているものであり、社会福祉国家の視点、犯罪被害者の保護の視点、犯罪予防という視点を複合的にとらえ、保安処分制度を導入する意義は非常に高いものと思われる。
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