本研究は、まず、現地調査などの方法を使って、中国での死刑適用状況を探って、故意傷害罪や被害者側に過誤があった故意殺人事件、一部の経済犯罪、公務員横領収賄罪に対する死刑適用が減少している反面、治安に影響の大きい故意殺人事件、組織犯罪、麻薬犯罪、国家安全危害事件に対する死刑適用が依然高水準にあることを明らかにした。次に、個々の死刑事例の分析を通じて、死刑適用も死刑改革も政治的メカニズムのなかで主に政治情勢により左右されていることを究明した。最後に、制度の面からも実証・事例の面からも研究を行って、中国での死刑多用の理由が政治的なもので、死刑改革もそれにより大いに制限されていることを示した。
|