研究課題/領域番号 |
15K03172
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
高山 佳奈子 京都大学, 法学研究科, 教授 (30251432)
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研究分担者 |
山本 雅昭 近畿大学, 法務研究科, 教授 (30380124)
神例 康博 岡山大学, 法務研究科, 教授 (40289335)
辻本 典央 近畿大学, 法学部, 教授 (60378510)
品田 智史 大阪大学, 法学研究科, 准教授 (60542107)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 経済刑法 / 比較刑事法 / 東アジア |
研究実績の概要 |
次の定例の研究会を実施した。第1回は4月29日に後述する華東政法大学シンポジウムの準備作業として報告内容の精査・検討を行った。第2回は7月17日に公正取引委員会の中里浩氏を招へいし、「公正取引委員会の審査手続について」と題する報告をいただいた上で、主に課徴金賦課手続と刑事手続の概要およびその相互関係に関する検討を行った。第3回は10月9日に『浅田和茂先生古稀祝賀論文集』にメンバーが寄稿した論文である「ドイツの相場操縦規制について」「振込め詐欺金員の自己名義口座からの払戻しについて」「国際的な贈賄に関する問題について」を取り上げて報告・討論を行った。第4回は1月7日に再度中里浩氏を招へいし、課徴金制度等に関する独占禁止法改正の動きを報告いただいた。同制度においては、罰金と課徴金との関係が問題になっているところ、近い将来予定される改正では、両者について直近の改正時と大きく異なる位置づけは与えられない見込みであることがわかった。 国際学術交流として、5月6日に上海の華東政法大学において、「日中の証券犯罪」を全体テーマとするに関する共同研究を実施した。日本側の報告テーマは「インサイダー取引の刑事規制」「相場操縦および有価証券報告書の虚偽記載等」で、参加者は全員、報告または指定討論を担当した。この研究会には、同大学以外に所属する比較的若い研究者も多数参加しており、29年度以降も日本との活発な学術交流を望んでいる意向が伝えられた。 同じく国際学術交流として、9月23-24日に北京師範大学で開催された国際刑法学会および中国刑法学会のシンポジウム「食品の安全と刑事規制」に研究代表者が出席し、日本の法人処罰制度についてのレクチャーを行った。経済協力の発展を背景とし、この制度に関する中国の高い関心を知ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
定例の研究会は予定どおり遂行できている。とりわけ、公正取引委員会に所属する専門家からの協力を継続的に得ることができるようになり、共同研究の基礎となる情報収集や法改正に関する政府の議論の理解のレベルが格段に上がったことは幸いであった。 他の東アジア諸国の研究者との連携もとれており、引き続き交流に努める。 28年度中に、武漢大学と合同で経済刑法シンポジウムを開催する予定であったが、中国のビザ取得要件・方法に変更があったため、延期となった。ただし、シンポジウムの内容の具体化については検討が進んでおり、研究計画全体への支障はないと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も定例の研究会を日本にて数回実施し、適宜研究協力者を招へいして実務や法改正に関する最新の情報提供を受ける。また、書籍『経済刑法入門』の改訂を行う。 年度前半に武漢大学との共同研究を実施する。全体テーマは「金融犯罪」であり、具体的には、「金融と詐欺罪」「組織的詐欺罪の諸問題」などをとりあげていくつかのセッションを実施する。年度の後半には華藤政法大学との共同研究を実施する。全体テーマは「犯罪論の体系と経済刑法の規制」(仮題)である。 近年特に、中国から欧米に留学した若手研究者の間で、体系論・保護法益論に対する関心が高まっており、経済刑法の領域における立法論・解釈論にこれを生かそうとする動きがある。本課題を含む日本との学術交流が一定の貢献を果たしうることが期待できる。これらの共同研究には韓国や台湾などの研究者も参加する予定である。 最終年度であるので、これまでの成果をまとめるとともに、学術雑誌での公刊を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
28年度中に武漢大学から5名程度の研究者を招へいしてシンポジウムを開催するはずであったが、中国からの渡航制度の変更や日程の調整について時間を要することとなったため、29年度に実施を延期した。 また、研究分担者山本雅昭については、法科大学院長に就任したため執行の手続が遅れているが、研究業績は公表できている。
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次年度使用額の使用計画 |
予定された29年度に同シンポジウムを開催するので、外国からの招へい旅費等を当初計画どおり支出する。 山本雅昭については、行政的な業務が軌道に乗り落ち着いたため、前年度分と合わせて分担金を執行する予定である。
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