平成30年度は、「気候変動・地球温暖化対策から生じる逆説的危害に関する調査研究」を行った。気候変動と地球温暖化は人類に対して多数かつ重要な問題を提示している。水や食料のような環境資源をめぐる紛争、気候変動に起因する移住に関係する紛争、資源利用をめぐる紛争、国境を超える汚染の移動をめぐる紛争など。各国政府や地域社会が気候変動に対する解決策を捜し求め、地球温暖化の効果を減じ、それに順応するための方策を採用しているが、これらがネガティブなフィードバック・ループを生み出し、さらなる環境の悪化と基本的人権に対する付加的な脅威をもたらしている。気候変動・地球温暖化対策から生じる逆説的危害について調査分析した。 具体的には、アフリカ東部、キリマンジャロ山周辺の現地調査を行った。気候変動は人的・物的資源に影響を及ぼす環境破壊を導き、とりわけ天然資源をめぐる競争的な生活システムは社会的な緊張と暴力を導く激しい闘争に至る。第一に、どのように気候変動が人間活動と関係する生態系の通常機能を阻害しているか、第二に、どのように気候変動対策の有害性が暴力の引き金となる可能性のある社会生態系の不均衡をもたらしたのか、について調査研究した。旱魃と洪水は極端な気候変動の現象であり、人々の生活、農業生産および関連する食糧の安全への重大な影響を及ぼしている。キリマンジャロ山周辺では、近年、地球温暖化の影響により、旱魃と洪水の発生頻度が高まり、間隔が短期化しており、周辺地域住民の生活環境を壊滅的状況に追い込んでいる。きわめて不安定で平均以下の降雨は、広範な食糧危機、栄養不足、悪環境下の家畜飼育、国内・国境を超える大量の人口移動を生み出している。 また、発展的応用として、近年における科学技術の著しい進歩に基づく宇宙開発に関して、宇宙採掘に起因して発生するであろう宇宙環境汚染・破壊に関する調査研究を行った。
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