研究課題
1 最終年度である本年については、脳科学・神経科学の知見を援用した一連の米国連邦最高裁判決によって脱厳罰化傾向を示している米国少年司法の現状を踏まえたうえで、そのことがわが国の少年司法に及ぼす影響に関する総括的な検討を行った。その成果としては、脳科学者、元裁判官他とともに、判例時報誌2395号以下に「少年法適用年齢の引き下げについて-脳科学の視点から-」と題して研究論文を連載中である(山口直也「脳科学・神経科学の進展と少年司法の変容-米国連邦最高裁判決から何を学ぶべきか-」2397号117頁-121頁等)。また、脳科学者、心理学者、社会学者、刑事法学者、裁判実務家とともに、共同研究を行った成果を一冊の研究書にまとめて公表予定である(山口直也編『脳科学と少年司法』(現代人文社・2019年6月刊行予定(脱稿済)))。2 加えて、本年度は、わが国における少年法適用年齢引き下げ及び刑事政策的措置に関する法制審議会少年法・刑事法部会の議論が本格化して、少年法適用年齢を引き下げた場合の年長少年に対する新たな処遇に関する具体的提案がなされていることから、少年法適用年齢を引き下げに伴って創設が予定されている「若年者に対する新たな処分」、及び自由刑の一本化に伴って導入されることが予定されている若年受刑者処遇原則について検討した。前者については、「若年者事件における検察官の権限とその限界-『若年者に対する新たな処分』の検討を中心として-」『新倉古稀論文集』(現代人文社・2019年9月刊行予定(脱稿済))を執筆し、後者については、比較法学会第81回学術総会で『自由刑の比較法研究』としてミニシンポジウムを企画して共同研究を行った(山口直也「自由刑の本質と作業・指導の義務化」「日本の自由刑」『比較法研究』80号・2019年1月・240頁-242頁、270頁-278頁)。
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比較法研究
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International Center for Comparative Law and Politics Publications : Graduate School of Law and Politics,the University of Tokyo
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