研究課題/領域番号 |
15K03189
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坂田 宏 東北大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40215637)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 民事司法 / 裁判外紛争解決 / 民事訴訟 / 調停 / 和解 |
研究実績の概要 |
本研究は、ADR(裁判外紛争解決)が民事手続法の体系の中で占めるべき位置を明らかにするとともに、相対化された民事訴訟手続における紛争解決に必要不可欠な要因の解明をし、民事手続法の理論的全体像を再構築することを目指すものである。 本研究の方法としては、従来採られてきた伝統的法学解釈論の方法に従い、各ADRの設立趣旨や対象となる紛争形態などを検討し、各ADRの特徴を探り、ADR全体の体系における位置づけを明らかにするとともに、各ADRを取り巻く経済的・社会的状況を把握すべき文献・資料(和書及び洋書)から閲読・咀嚼したうえで、精緻な理論を展開・構築する方法をとった。 まず、平成27年度においては、研究代表者が外部委員(公益委員・会長代理)として所属する宮城県労働委員会におけるADR(不当労働行為救済申立手続、集団斡旋及び個別労使紛争斡旋手続)に関する国内外の先行研究・文献を渉猟し、データベースの構築に努めた。 また、平成27年10月30日(金)、京都大学名誉教授であられる谷口安平氏を東北大学にお招きし(東北大学片平キャンパス・エクステンション教育研究棟201A教室)、「国際的視野におけるADR」と題し講演を賜り、学術的知見の供与を得た。この講演では、谷口氏がアメリカに留学された若年の頃よりライフワークとして研究を続けられているところの、裁判所が行う実定法に基づいて裁判と並んで、文字で書かれ、法解釈という厳しい制約のもとにある実定法の枠外で両当事者の意思に基づいた紛争解決規範を創造するADRの存在が、全紛争解決手続の中で肯定的な意味で位置づけられるとの学術的知見が述べられた(これについては、法学80巻1号(2016年4月)47頁~90頁に掲載された。)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内及び海外のADRに関する文献は順調に入手できていること、また、谷口氏の講演により、裁判とADRの対比がより明らかとなっていることなどから、概ね順調に進展しているものと判断される。 なお、研究代表者が所属する宮城県労働委員会においても数々の事件を消化しており、ADRに対する知見も集積しつつある。また、宮城県行政書士会の行政書士ADRセンター宮城も平成28年度から業務を開始することになった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度においては、本年度に行った研究に加えて、国内外、とりわけADR先進国アメリカにおける法学・心理学的先行研究・文献、及び調停を民事訴訟に前置したドイツ民事訴訟法の先行研究・文献などを渉猟・研究するとともに、東北大学民事訴訟法研究会に山田文京都大学教授をお招きして、学術的知見の供与を得ることとしている。宮城県労働委員会の実務的研究にも着手する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額12,921円が生じた理由は、和洋図書で予算額に見合ったものがなかったためである。全体から見て僅少な未使用額であり、次年度に持ち越すことが可能であると判断した。
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次年度使用額の使用計画 |
和洋図書を購入することに使用したい。
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