今後の研究の推進方策 |
会計ルールによって異なる残余権の内容に基づき、以下の具体的トピックの分析にどのような影響を及ぼすのかを検討する。①有価証券報告書虚偽記載があった場合の会社の株主(投資家)への責任、②過度のリスクテイク等の会社法429条責任、③会社法から倒産法へと原理が切り替わるトリガーとしての「支払不能」概念の意義、④株主の私的利益の規制のあり方。①、②については業績11によって分析の端緒はなされているが、①については、従来から紹介の多い米国法文献だけではなく、法改正に向けて議論が盛んになってきた日本の不法行為法の近時の動向まで踏まえた分析を行う。②については、特に米国法において、かつてのClark Corporate Law等の指摘と異なり、破産前の取締役の対債権者義務に批判的なHu & Westbrook, Abolition of the Corporate Duty to Creditors, 107 Col. L. Rev. 1321等近時の文献を渉猟し、米国の会計ルール(GAAP)及び各州法の分配規制の位置づけとの関連を検討する。
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