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2017 年度 実施状況報告書

会計基準の会社法における実体法的意義――IFRS導入を視野に

研究課題

研究課題/領域番号 15K03190
研究機関東北大学

研究代表者

得津 晶  東北大学, 法学研究科, 准教授 (30376389)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2019-03-31
キーワード会社法 / 企業会計 / 国際会計基準 / 配当規制
研究実績の概要

Ⅵ.具体的トピックの研究:前年V.による会計ルールによって異なる残余権の内容に基づき、以下の具体的トピックの分析にどのような影響を及ぼすのかを検討した。①有価証券報告書虚偽記載があった場合の会社の株主(投資家)への責任、②過度のリスクテイク等の会社法429条責任、③会社法から倒産法へと原理が切り替わるトリガーとしての「支払不能」概念の意義、④株主の私的利益の規制のあり方。①、②については業績11によって分析の端緒はなされているが、①については、従来から紹介の多い米国法文献よりも、法改正に向けて議論が盛んになってきた日本の不法行為法の近時の動向まで踏まえた分析を行った。②については、特に米国法において、かつてのClark Corporate Law等の指摘と異なり、破産前の取締役の対債権者義務に批判的なHu & Westbrook, Abolition of the Corporate Duty to Creditors, 107 Col. L. Rev. 1321等近時の文献を渉猟し、Ⅱ、Ⅲの成果としての米国の会計ルール(GAAP)及び各州法の分配規制の位置づけとの関連を検討した。その際にⅣで構築した裁判例の分析も用いる。④については従前の研究成果と合わせ、利益供与についての判例評釈を公表した。これらの作業のため、東京大学法学部図書館等で資料収集を行い、また、各分野で業績を上げている研究者と意見交換を行った。それぞれの成果について、法の経済分析WS、東北大学商法研究会・民法研究会、北海道大学民事法研究会等で報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

前年V.による会計ルールによって異なる残余権の内容に基づき、①有価証券報告書虚偽記載があった場合の会社の株主(投資家)への責任、②過度のリスクテイク等の会社法429条責任、③会社法から倒産法へと原理が切り替わるトリガーとしての「支払不能」概念の意義、④株主の私的利益の規制のあり方という具体的トピックについて検討した。①~③については、それぞれ、検討を進めたが、各研究会等での報告は、それぞれのトピックの具体的問題にとどまっており、包括的な成果については、調書通り、最終年度に持ち越しとなっている。他方、裁判例の分析の活用に関連して、④については従前の研究成果と合わせ、利益供与についての判例評釈を公表した。
そのほか、本来最終年度に予定していた会計基準と会社法の規制との関係について、プレ報告的な概観コメントを日本銀行金融研究所において公表し、それを活字にする準備を進めた。
これらを総合すると、若干の研究が遅れている点がある中で、先行して研究を進めている箇所もあることから、「おおむね順調に進展している」という評価が適切であると思われる。

今後の研究の推進方策

本年の目標は、Ⅶ.成果の公表である。前年までのⅡ~Ⅵ.により、会計ルールから一貫した分配規制、残余権者概念、さらに具体的な論点の検討を行った。その結果を、個別の形で、もしくは包括的な形で、論文として東北大学法学部紀要「法学」もしくは民商法雑誌その他の学術雑誌に投稿する。
また、英語でもとりまとめ、海外での研究会で報告を検討している。そこでのフィードバックを踏まえて、英文校正後、Law Reviewに投稿する。そのほか、本研究から派生するⅥ.で掲げた以外の個別の論点の分析についても、東京大学商法研究会、東北大学商法研究会・民法研究会、北海道大学民事法研究会で報告する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (3件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] ホテル内のマッサージ店による後遺障害に対する会社法9条類推適用2018

    • 著者名/発表者名
      得津晶
    • 雑誌名

      ジュリスト

      巻: 1515 ページ: 112-115

  • [雑誌論文] 種類株式2017

    • 著者名/発表者名
      得津晶
    • 雑誌名

      法学教室

      巻: 444 ページ: 17-23

  • [雑誌論文] ある議案を否決する株主総会等の決議の取消しを請求する訴訟2017

    • 著者名/発表者名
      得津晶
    • 雑誌名

      民商法雑誌

      巻: 153 ページ: 431-444

  • [学会発表] コメント(日本の株主代表訴訟について))2017

    • 著者名/発表者名
      得津晶
    • 学会等名
      中外商法第二期“利益平衡下股何去何从”(Forum of Sino-Foreign Commercial Law 2017 "Where Does the Shareholder's Litigation Go?”
    • 国際学会
  • [学会発表] 商法典(総則・商行為総則を中心に)に何を規定すべきか?2017

    • 著者名/発表者名
      得津晶
    • 学会等名
      中日民商法研究会第16期
    • 国際学会
  • [学会発表] Class-Stock in Japanese Listed Companies2017

    • 著者名/発表者名
      Akira Tokutsu
    • 学会等名
      The 21st Century Commercial Law Forum-17th International Symposium 2017 Financing Innovation and Regulation (21世紀商法第十七届国際学術研討会 融資創新与監管)
    • 国際学会
  • [図書] 民商法の課題と展望大塚龍児先生古稀記念2018

    • 著者名/発表者名
      大塚龍児先生古稀記念論文集刊行委員会編
    • 総ページ数
      660
    • 出版者
      信山社
    • ISBN
      978-4797218541

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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