本研究は、わが国の証券の口座振替制度における担保制度について、口座記録の振替によらない、すなわち担保権設定者(口座名義人)、担保権者、口座管理機関の3者の合意(「支配契約」「コントロール合意」などと呼ばれる)による担保権設定の制度構築を提案するものである。当初はここから得た知見から、さらに、預金口座、電子記録債権について担保取引のあり方を再検討することを計画していたが、分散型台帳技術の証券決済システムへの適用が一層注目されるようになり、世界各国でさまざまな実験が行われて来ている状況に照らし、分散型台帳技術を利用した間接保有特有の投資者のリスクを排除する制度について、検討を始めることとした。
|