本研究は,国際海事仲裁を通じて各国国内法とは異なった独自の国際的な海事法規範(lex maritima)が形成されているという可能性に着目し,①国際海事仲裁が有する独自の法形成機能の存在について具体的に検証し,②その根拠と限界を理論的に明らかにすることによって,国際的な海事法の形成・統一において国際的海事仲裁が果たしうる機能を明らかにすることを目的とするものである.そのような検討を通じて,国際的な法形成・法統一に関する理論研究と仲裁法に関する理論的研究との間にまたがる新たな研究領域が存在することを明らかにする.
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