研究課題/領域番号 |
15K03195
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
小林 秀之 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 特任教授 (30107495)
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研究分担者 |
安達 明久 常葉大学, 経営学部, 教授 (10552474)
比護 正史 白鴎大学, 法務研究科, 教授 (30726659)
斎藤 輝夫 明治大学, 法務研究科, 特任教授 (60726256)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 民事訴訟法 / 紛争処理法制 |
研究実績の概要 |
本研究は、米国や中国、アジア諸国においてグローバルな事業活動を展開する我国企業が遭遇する各種のビジネス紛争に関して、交渉理論による紛争解決制度の国際比較を行い、紛争の回避・解決のために必要となる基礎的知見(新たな紛争解決法理)を提供すことを目的としている。これまでの研究実績は、下記の通りである。 平成27年度:調査対象国の紛争解決制度の概要調査、当該国におけるビジネス文化とその背景となっている社会経済的要因の整理分析に重点をおいた作業を実施した。その具体的内容は、次の通りである。 ①中国のほか、ベトナム、タイなどアジア5ヶ国の紛争解決制度全体の現状に関する文献調査を行い、労働法制に関し詳細な資料収集整理を実施、解雇における正当理由、金銭補償などの法制度の状況と、司法・行政・民間の3区分による労働紛争解決制度と利用実態について分析を行った。②また、世界44ヶ国におけるビジネス文化の類型化とその要因に関する定量分析を実施し、ビジネス文化類型と相関する人種・宗教など4区分29個の社会経済文化的要因を抽出する作業を開始した。 平成28年度:平成27年度の労働法制に関する調査、および、ビジネス文化の定量分析の調査結果を踏まえ、調査内容をOECD主要23ヶ国の労働紛争解決制度、特に雇用保護規制に焦点を絞り、その内容とビジネス文化などの社会経済的要因との相関分析を開始した。具体的には、次の2点である。 ①平成27年度から開始した世界44ヶ国におけるビジネス文化の類型化とその要因に関する定量分析を継続し、ビジネス文化類型と相関する人種・宗教など4区分29個の社会経済文化的要因を抽出する作業を完了した。②雇用保護規制に関する定量的な国際比較分析を行うためのフレームワークとして、「雇用環境」「雇用保護規制」「経済的社会的要因」の3つの視点を設定し、分析を実施するための各種定量データの収集整理を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成28年度当初に予定していた「世界44ヶ国におけるビジネス文化の類型化とその要因に関する定量分析」は完了したが、「雇用保護規制に関する定量的な国際比較分析」については、各国の定量データ収集等に時間を擁しため、分析のためのフレームワークの設定と各種定量データの収集整理の段階までに留まり、具体的な分析結果の抽出にまではいたらなかった。したがって、当該分析の結果を踏まえて実施を予定していた個別事例ヒアリング等も平成29年度にずれ込んだことによる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は研究期間の最終年度となることから、これまでの研究成果を踏まえて、研究対象を労働紛争、特に解雇紛争に焦点を絞り、海外主要国における「雇用保護規制」「解雇紛争制度の概要」、およびその背景となっている「雇用環境」「社会経済的要因」の相関関係の分析を行い、各国毎の特徴を整理する。この作業を通じて、雇用紛争解決制度の一般的な在り方に関する基礎的知見を抽出することを試みる。具体的には、次の内容を想定している。 ① 平成28年度に開始したOECD主要23ヶ国の雇用保護規制と社会経済的要因との相関分析を完了する。 ② 上記分析を可能な範囲で東南アジア諸国にも拡大した上で、平成27年度における雇用紛争解決制度の主要国概要調査結果と統合し、「雇用保護規制」「雇用紛争解決制度」「雇用環境」「社会経済的要因」の相関分析を実施する ③ 地元商工会議所等の理解を得たうえで、具体的な事例について相当数の個別ヒアリング調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
個別事例ヒアリング調査が平成29年度にずれ込んだため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度が最終年度であり、前期にヒアリング調査を行う予定であり、当該繰り延べ額を充当する計画である。
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