1.平成27年度、平成28年度及び本年度に実施したドイツ及びアメリカの夫婦財産制に関する研究結果の分析を進めた。この作業と並行して、婚姻の財産的効果を①夫婦財産制、②財産分与、③配偶者相続権の枠組みから検証し、ドイツとアメリカにおける実体法及び手続法の状況について検討した。婚姻財産の独立性と保護性という見地から、夫婦の財産関係に関する法の再整備について本研究成果を纏め、書籍として公表する予定である。 2.すでに公表ないし公表確定した本研究の成果として以下のものがある。 (1)平成28年11月6日の日本家族<社会と法>学会第33回学術大会(於上智大学)におけるシンポジウム「家族法改正-その課題と立法提案」での報告「婚姻の効力」の内容を纏め、「婚姻の(一般的)効力-婚姻当事者間の権利義務-」家族〈社会と法〉33号(平成29年10月)として公表した。 (2)日本の近時の財産分与に関する判例の動向を分析し、「財産分与をめぐる近時の課題」(深谷格・西内祐介編『大改正時代の民法学』〈成文堂、平成29年12月〉所収)として公表した。 (3)日本で現在進められている相続法改正の動向について研究を進め、その成果の一部を平成30年3月30日に神奈川県弁護士会(司法制度委員会主催講演会)において講演した。 (4)財産分与及び離婚慰謝料に関する研究成果を論文として纏め、『現代家族法講座』(日本評論社、平成30年刊行予定)に「離婚給付と離婚慰謝料」として公表する。
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