わが国の民法第397条は、抵当権の時効を定めるものであり、フランス民法に由来するものである。本研究は、フランス法における抵当権の時効を研究することで、わが国の解釈の示唆を得ることを目的としている。本研究では、フランス民法典制定前の法状況を検討した後に、フランス民法典制定後の学説や判例を、(1)1804年から1851年(担保法改正提案)、(2)1851年から1855年(公示制度の改正)、(3)1855年から1955年(公示制度の再改正)、(4)1955年から2006年(担保法改正)、(5)2006年以降の時期に分けて検討した。この検討により、フランス法における抵当権の時効の意義を明らかにした。
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