本研究は、当然のように受け止められる支配権異動を伴う新株発行に株主総会の承認を求めるルール(総会決定ルール)の当否について、日本の会社法の立法過程も踏まえて検討したものである。本研究では、総会決定ルールの問題点として、取締役会が明らかに問題のある支配株主に対抗する手段を失うことが特に問題となることを示した。また、総会決定ルールが導入され、裁判所による不公正発行の審査が及ばないとなると、現状より悪くなる可能性があることをも示した。最後に、これまでの新株発行をめぐる規律の変化の背景には、構造的な問題もあることを明らかにした。
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