本研究テーマと直接関係はないが、数年にわたり継続して執筆していた高田裕成・三木浩―・山本克己・山本和彦編『注釈民事訴訟法第4巻 第一審の訴訟手続(2) 』(査読なし)(有斐閣・2017年)1120頁-1204頁(分担執筆 松原弘信)が昨年度公刊された。 本研究テーマである「当事者適格の理論的基礎の研究」と直接関わる研究としては、最近の最高裁判例でも問題となった当事者能力を有する法人でない社団の当事者適格における「固有適格構成」と「訴訟担当構成」についての見解の対立を踏まえて、前者の「固有適格構成」に焦点を当てて、「固有適格」概念の学説史的な検討に基づく試論および法人でない社団の構成員への既判力拡張の当否と根拠条文による理由付けの問題についての私見を明らかにした松原弘信「法人でない社団の当事者適格における固有適格構成の理論的基礎」『民事訴訟法の理論・高橋宏志古稀祝賀論文集』(有斐閣)(2017年5月末脱稿、2018年2月刊行)397頁-424頁を発表した。 同じく上記テーマと関わる研究として、最近の会社組織関係訴訟の再審原告適格に関する2つの最高裁判例などを検討のうえ、判例の考え方である再審原告適格の判断基準につき本訴訟の当事者適格を基準とする考え方に対する批判的考察を試みた松原弘信「人事訴訟・会社訴訟における再審当事者適格――当事者適格との関係と理論的基礎」熊本ロージャーナル14号(2017年12月末脱稿、2018年3月刊行)1頁-20頁を公表した。 現在、科研の最終年度は過ぎたが、1昨年度の研究成果1つと昨年度の2つの研究成果を踏まえた発展的テーマとして、「当事者論の理論的基礎に基づく新たな体系構築に関する研究」を構想し研究を進めているところである。
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