研究課題/領域番号 |
15K03218
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
芳賀 雅顯 慶應義塾大学, 法務研究科, 教授 (30287875)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 消費者団体訴訟 / 消費者ADR |
研究実績の概要 |
ドイツ学術交流会主催によって留学していた法学研究者よる、第3回東アジア法律家会議での国際シンポジウム「リスク社会と大規模損害(Risikogesellschaft und Massenschaeden)」が、2015年9月12日および13日に北京で開催された(幹事校は中国人民大学)。研究代表者は、日本側報告者の1人として、Verbraucherschutz in Japan vor dem Hintergrund von Massenschaeden(日本における消費者保護と大規模損害)を報告した(使用言語はドイツ語)。 報告の内容は、日本の消費者団体訴訟制度の概要および消費者ADR制度の紹介と今後の課題に関するものである。報告では、日本の消費者団体訴訟制度が2006年5月の消費者契約法の改正によって認められた比較的新しい制度であること、また、2013年に消費者裁判手続特例法によって、従来認められてきた差止めに加えて、特定適格消費者団体による賠償請求が可能となったことをまず論じた。その上で、従来認められてきた差止めの対象となるのはどのようなものなのか、また、差止めを求めることができる適格消費者団体とはどのような団体なのか、差止め請求による救済にはどのような限界があったのかを論じ、そして、2013年に消費者裁判手続特例法によって認められた特定適格消費者団体による集団的消費者被害回復制度の内容紹介と、問題点を指摘した。つづいて、消費者紛争とADR制度との関係について、国民生活センターADR、PLセンターの制度の概要、訴訟手続とADR制度との連携の必要性などを論じた。 本報告は、ドイツの民事手続法専門誌である、Zeitschrift fuer Zivilprozess International Bd.20 に掲載予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度は、主として国内での議論状況の把握と、外国法の状況に関する情報収集の開始を目的としていた。まず、前者については、すでに状況把握を相当程度進め、その一環として、前述の研究成果にあるように、消費者ADRに関してドイツ語による報告を行った。また、後者の外国法に関する情報収集についても、ドイツでの国際学会への参加などを通じて、適宜行っている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、研究計画通りに、主として渉外民事紛争処理としてのメディエーションの可能性を検討するための準備を行う。また、外国人研究者を日本に招待することを計画している。
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