本研究は、商標法や不正競争防止法等の知的財産法の立場、ならびに、商法・会社法や金融商品取引法等の企業法の立場から、優れた商品やサービスを提供する者、ならびに、優れた事業を営む者のインセンティブのために信用や評判が有効に機能しうる法制度を模索するものである。 本研究の考察枠組みは、商品、サービスおよび事業者の信用・評判に係る法制度について、「①認証者による認証サービスに支えられた下で、優れた商品やサービスを提供する者、優れた事業を営む者のインセンティブのためにそれらの信用や評判が発展し、確立され、それが有効に機能する市場環境が整えられる」、さらに、「②事業者自らの努力で発展し、確立された信用や評判は、他者に不当に利用されないように保護されなければならず、もって複数の事業者間で公正な競争が図られる」という考察の枠組みにより体系化が図られるべきというものである。この考察の枠組みについて、研究代表者と研究分担者が第一次的に比較法研究を実施することで研究を進めてきた。 これまでの研究期間においては、上記にかかる多くの制度や理論を調査し、それらを機能論的に体系化し、その上で、具体的な問題やあるべき規範との関係に当てはめて考察し、上記①および②の体系化の重要性を明らかにしてきた。その一例が、企業のコーポレート・ガバナンスと認証(機関)の関係であり、また異なる側面として、様々な認証機関の体制の相違と有効性の比較検討である。さらに、知的財産権(その侵害)と不正競争防止法の関係を具体的論点、事例に基づき考察しているところである。
|