コモン・ローにおける過失不実表示責任をめぐり、1960年代前後のイデオロギーおよび学説の変化を、過失不法行為法によって課される責任から意思ないし契約によって引き受けられた責任への変化だと説明することにより、過失不実表示責任、さらには、過失不法行為責任を分析するための道具だてを得られた点に学術的意義ないし社会的意義をみいだすことができる。過失不実表示責任の内容は、過失不法行為責任と意思ないし契約責任との間を大きく揺れ動くものと考えられる。この道具だてによって、とりわけリーマン・ショック以後の責任内容の分析が容易になることと考えられる。これについては、今後の課題としたい。
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